勤務最終日

201611281343453年勤めた仕事を終えて、フリーランスになった。

やめますと伝えた日から最終日までは、引き継ぎを含めばたばたしているうちにあっという間に過ぎていった。すべてが終わったはずの今でも、後任の方の席で引き継ぎをしている時の、自分の席とは違う景色や、窓の大きな中華料理屋さんで仲のいい人たちと椅子から転げ落ちるほど笑ったお昼の時間など、残像みたいなものが脳裏にいくつも浮かんでくる。

朝早めに出勤するといつもすでに席にいて「おはよう」とかえしてくれる上司、ミーティング後に毎回席の後ろをMacbook片手に通り過ぎていく人の気配、お昼のチャイム、ピンク色のじゅうたん、遠くから聞こえる笑い声、キーボードをタッチする感触、白くて長い、なぜかデザイナー用のデスク、妙に座り心地のよい椅子、毎日午後に飲むマウントレーニア(無糖)、そこにブラインドウから漏れた光が差してくる時間帯、いつも声をかけてくれる人、笑いかけてくれる人、ドアを開けてくれる人、定時に必ず帰る人、遅くまで残っている人、会うたびに「おつかれさま」と言ってくれる人。「おつかれさまでした」といって切り上げても、翌日(数時間後)にはまた「おはようございます」といって顔を合わせるのが当たり前だったのに、その流れに加わることはもうない。

「一緒に働いたことも縁だから」と今後についても声をかけてくれる方たちがいたことも、それに対して心から「お願いします」といえる自分も、うれしかった。心と行動に矛盾がない状態が、こんなにも自由ですがすがしかったことを、いつから忘れていたのだろう。たくさん悩んだけれど、いまは長い夜がようやく明けたような気分。