苦手な場所

役所のようなところが苦手だ。
行くと、自分がものになったような気持ちになって体がひんやりしてくる。必要な書類を得るために何枚もの紙に住所と名前と電話番号を書いていくのはむなしい。悪いことは何もしていないはずだけれど、なぜかジャッジされているような緊張感もあり、どうしても行かなくちゃいけない時は朝からこころの準備をしている。

そろそろ税務署に行かなくてはいけなくて、今日は朝から「税務署に行きますよ」とたびたび自分に確認した。出したい書類もあるし、教えてもらいたいこともあったので、準備をして、憂うつな気持ちで家から二十分ほど歩く。街は年末にむけてざわつきだし、そこかしこで「終わり」にむけての準備がはじまっていた。

窓口で対応してくれたのは、しゅっとした女性だった。すらりとした長身に、まっすぐのきれいな黒髪、銀縁メガネの奥の瞳が涼やかで、こんな人がいつも税務署にいてくれたらどんなにいいだろうと思うような人だった。その人の丁寧な説明のおかげで、もやもやしていたものがすっきりと晴れた。

心につっかえていたものが前進した達成感や、対応してくれた人の雰囲気、やさしさなど、いろいろ嬉しくて、みたらし団子を買って帰った。