足もと

前の職場でお世話になった方とお昼ご飯を食べた。前から本の貸し借りをよくしていた方で、会社の昼休みに合わせて本を受け取りにいったのだった。
その帰りに、同じ課だった人たちにばったり会った。お昼休みの終わりで、 みんなはフロアに戻るところ。わたしは駅へと向かうところだった。
びっくりしてワッと声をあげて、偶然を喜んだり、手を握ったりして、またゆっくり会おうねといって別れた。ほんの数分の出来事だった。

ああ、びっくりした。うれしい。みんな元気なんだなあ。まだ2ヶ月しか経っていないんだから、当たり前か。頭の中で喋りながら、まだ残っている気配と驚きと興奮を味わっていると、だんだんさびしくなっていった。
自分から離れてきたくせに、もうあそこに居場所はないこと、知らないことが増えていくこと、髪が伸びているなどみんなの小さな変化を思い出すと、きゅっと心臓をつままれたみたいように苦しくなる。
このさびしさは、いつか懐かしさに変わっていくんだろうなあ。まだ「懐かしい」といえるほど月日が経っていなくて、水分がたっぷり含まれた思い出にぐらぐらするけれど。今はそれでいいと思った。

そのまま近くの書店へむかった。まだ読んだことのない本に囲まれていると、気持ちがしんとする。何をするのか、したいのか。自分の足もとを再確認して、帰宅した。