白髪

私の白髪のピークは、中学時代だ。
部活終わりにじゃれあっていた陸上部の先輩が、ふと私の髪をかき分けた時に白髪がたくさん生えているのを見て「うわっ」と叫んだのを今でも覚えている。自分の髪の状態を、私もその時初めて知った。

それから高校を卒業して家を出るまでは、週末や寝る前などにたびたび母に白髪を切ってもらっていた。母の膝の上にクッションを置いてその上に頭をのせると、髪をかきわけて白髪を探してくれる。
「抜くのはよくない」というのが母の持論で、根元からたくさん切ってくれるのだけれど、頭を触られることとはさみの慎重な音が心地よくて、そのまま寝るのがひそかな楽しみだった。

切ってもらったら、その白髪をしばらく眺める。黒い髪とは違って、白髪には釣り糸のような独特の質感があり、触っていて飽きない。色がグラデーションになっているものも多く、黒→白はよくあるけれど、中には黒→白→黒というドラマチックなものもあるのでいつまでも見ていられる。日に透かすとひと際きれいで、気がすむまでうっとりする。

今では夫がたまに白髪を切ってくれるけれど、昔に比べるとずいぶん少ないようだ。何度か髪をかき分けて「もうないよ」と言われると、嬉しいんだかさびしいんだかよくわからなくなる。