人生を変える仕事

img_5810美容院に行った。いつものようにマッシュ気味のベリーショート、最後は首をバリカンでしょしょっと刈ってもらう。

この髪型にしたのは去年の12月から。友だちと同じ美容師さんに切ってもらって以来、毎月通っている。
その人はとにかく見立てが早くて、初回は椅子に座ると同時に「もみあげがない方が似合うと思います」とはっきり言われ、はい、とか、はあ、とか言っているうちにサクサクと顔を覆う面積が減っていき、1時間後にはその辺の男子より髪の短い私が、鏡の前に座っていた。
見慣れない姿を鏡で何度も確認していると、美容師さんは確認するように「うん、似合いますね」とはっきりと言い、控えめな笑みとともに送り出してくれた。
そのあとは、家族や友人、会社、病院の先生などよく会う人のほとんどに「似合う」と言われる日々が続いた。そんな経験はいままでになかった。
耳の周りのアトピーの跡、首の色素沈着などは髪で隠すことが自分と世界との約束のようになっていたけれど、それが丸出しになることも徐々に気にならなくなった。私の歴史を物語っているようでときどき清々しさすら感じることもある。ほんとうに根強いコンプレックスだったのに。友だちが「髪だけじゃなくて、人生まで変わっちゃったね」と言った。本当にその通りだった。
さまざまなオーダーから(時に思いもよらない)提案をし、たしかな技術で再現、最後まで真摯で手加減のない姿勢。扱うのは身体の一部分でも、それが人生まで変えてしまうこともある。なんだかすごいことを知ってしまったような気持ちになる。

美容院を出た後は、毎回生まれ変わったような気持ちになる。首がすーすーするのを楽しみながらそのまま渋谷まで歩き、コメダコーヒーで大きすぎるミックスサンドをひとりで食べて帰宅した。